小説第四十二話「青眼の白竜より請求書が怖い」 気がつくと朝が来ていた。 清々しい朝とは程遠い、どこか鉛のように重たい倦怠感。 布団の中でまどろみながら思う——起きるのが、つらい。 あぁ、大海原に浮かんで、クラゲのようにただ漂っていたい。 やがて現実が容赦なく呼... 2025.07.10小説
小説第四十一話「ストレスと一杯のラーメン」 あっちの世界のあの場所にいた。 ここにも、あの場所があったのか。 俺は、言葉にならない絶望感に襲われた。 脳の奥に、何か黒く重たいものが沈んでいくような感覚。 夜明けと共に目が覚める。 布団の中でしばらく動け... 2025.07.09小説
小説第四十話「団結は夢、塩分は現実」 俺は朗読会に参加してた。 今日の朗読は……なんと俺が書いた小説だ。 参加者全員で、俺の作品を朗読する。 うれしいような、恥ずかしいような、不思議な感覚。 みんな真剣に読んでくれる。 心を込めて読むと、作品に命... 2025.07.08小説
小説第三十九話「地球の熱、コーヒーの香り、そして僕ら」 七夕の朝、ひさしぶりに“あっちの世界”に行かずに目が覚めた。 外はすでに陽が差し、セミが鳴いている。 令和7年7月7日―― トリプルセブン、777のラッキーデーだ。 なんだか、今日は良いことが起きそうな気がする。 ... 2025.07.07小説
小説第三十八話「星の街に夏が舞い降りた日」 紙飛行機。それは、誰もが一度は折ったことのある、あの折り紙のかたち。 俺はあっちの世界で、その紙飛行機の大会に出ていたんだ。 参加者たちは、それぞれ思い思いの紙飛行機を折っていた。 中には、本物そっくりの飛行機を再現して... 2025.07.06小説
小説第三十七話「風を忘れて、夏が来た」 日付が変わるその頃、俺は電車に揺られていた。 目的地があるようでないような、そんな深夜の電車旅。 手には読みかけの文庫本。けれどページは進まない。 眠気と、さっきまで飲んでいたビールの余韻が頭の中をふわふわさせて、文字の... 2025.07.05小説
小説第三十六話「チェンソーと血圧計と静音革命」 気がつくと、俺は廃墟となったビルにいた。 向こうから現れたのは、チェンソーを手にした、あの場所の若い奴だった。 いきなりそいつが俺に向かってチェンソーを振りかぶる。 俺は、またしても、あっちの世界でチェンソーマンと戦って... 2025.07.05小説
小説第三十五話「忠義か納期か、それが問題だ」 空に稲妻が走った。 漆黒の闇を切り裂くその光は、まるで大地への警告のようだった。 南では、いまだ地震が頻発している。 俺は西へ車を走らせていた。 目的地があるのかもわからず、とにかく西へ――。 そう、あの三蔵... 2025.07.03小説
小説第三十四話「ルールなき世界で一列に並ぶ理由」 俺は真っ赤なポルシェで峠を攻めていた。 圧倒的な加速、どんなコーナーも思いのままの旋回性能。そして、唯一無二のデザイン。 まさにドイツが生んだ最高傑作。イタリアの跳ね馬もいいけど、俺は断然、ドイツの跳ね馬派だ。 そんなと... 2025.07.02小説
小説第三十三話「止まる世界、走るカローラ、そして俺は甲板で」 小鳥の囀りで目を覚ます。 「小鳥さん、もうちょっと寝てもいいですか?」 そんな問いかけに、小鳥はもちろん答えない。だけど、俺の心に何かがざわつく。 時計は確実に、あの場所へと向かう時間を刻んでいる。 今日から7月。... 2025.07.01小説