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第五十二話「夜市に揺れる提灯と、揺らぐこの国の足元」

とてもよく寝られた夜だった。 三連休の真ん中。今日という一日は、少し特別な匂いがする。 朝、新聞をひらけば「選挙へ行こう」の見出しが目に入る。 日本が変わるかもしれない日。いや、変わらなければならない日だ。 夜には...
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第五十一話「ばぁちゃんからのプレゼント」

船に揺られながら、俺は沖へと出ていた。 遠くに、大きな島が見える。 のんびりと釣り糸を垂らし、魚がかかるのを待つ時間。潮の匂いと風が心地いい。 ――と思えば、次の瞬間、俺はマリーナに立っていた。 中古の船を眺めなが...
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第五十話「働き方改革は門前から」 

一つの、長くて長くて、どこか遠くの記憶のような物語を読み終えた。 いろんな世界を旅する話だった。 気がつくと、自分もその物語の中にいた気がする。 目が覚めると、雨の音が耳を叩いていた。 しっかりとした、芯のある雨だ...
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第四十九話「個性漂流地図2025」

どこか遠くの世界から戻ってきたような感覚がある。 けれど、どこから来たのかが思い出せない。 気づけば、あっという間に朝がきていた。 カーテンを開けると、空は雲に覆われていた。 天気予報では、今日は雨になると言ってい...
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第四十八話「あの日、オールスターの風に吹かれて」 

長い長い物語を、俺は読んでいた。 それはとても不思議な物語で、あっちの世界に行ったかと思えば、すぐこっちの現実世界に戻ってきたりする。 まるで呼吸をするみたいに、自然に行ったり来たりできるその世界は、複雑で、面白くて、そしてち...
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第四十七話「山の清流から教室の冷気へ」

俺は、ばあちゃんの家がある山の中にいた。 きれいな清流が流れていて、まわりには田植えを終えた田んぼが広がっている。 俺の大好きな場所だ。 初夏の空気が、すべてをやさしく包んでいた。 そんな空気のなか、家の中からばあ...
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第四十六話「重たいまぶたと、軽やかなバス」

ゆっくりのんびりいきましょう。 俺はバスに揺られていた。 どこへ向かっているのか、はっきりしない旅。 ここはどこなんだろう――そう思ったとき、遠くでバイクの音が聞こえてきた。 その音で、俺はこの世界に戻ってきた。 ...
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第四十五話「マルシェごはん、ひと口ずつの夏」

喉の渇きで目が覚めた。 窓を開けると、夜の熱気がまだ少し残っていた。熱帯夜だったんだと思う。 少しぼんやりしながら、水を飲み、ゆっくりと目を覚ましていく。 SNSの投稿はこれで1001件目。節目のような朝。 今日は...
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第四十四話「港にあつまる朝のリズム」

鳥の声が聞こえて、目が覚めた。 今日は土曜日。 いつもより、ちょっとだけゆっくりの朝。 ここ数日は、もうひとつの世界に呼ばれていない。 満月の影響もあるのかもしれないな。 カーテンをあけて、窓もひらく。 ...
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第四十三話「変わらぬ月と、変わるべきは己」

目が覚めた瞬間から、すでにフラフラだった。 金曜日がやってきた。 今夜は満月。7月の満月は「バックムーン」と呼ばれるらしい。 しかも今宵はスーパームーン。一年でいちばん大きく見える満月。 まるで空に浮かぶ巨大な提灯...
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