第四十話「団結は夢、塩分は現実」

小説
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俺は朗読会に参加してた。

今日の朗読は……なんと俺が書いた小説だ。

参加者全員で、俺の作品を朗読する。

うれしいような、恥ずかしいような、不思議な感覚。

みんな真剣に読んでくれる。

心を込めて読むと、作品に命が吹き込まれたようだった。

朗読会の講師は、あの有名な声優。

俺も、自分の作品を心を込めて読んだ。

そして朝が来た。

窓を開けると、清々しい空気が部屋に流れ込んでくる。

あの場所を目指して、車に乗り込む。

今日のラジオは、イギリス王室の歴史。

……もはやドロドロの昼ドラ。

いや、昼ドラのレベルを遥かに超えた物語だった。

そこには、王族としてのプレッシャーもあったらしい。

がんばれ、エリザベス。

あの場所の駐車場に着く。

門に近づくと、大きな声が聞こえてきた。

スーツ軍団がいる。選挙前に現れる、あの人たちだ。

そうか、選挙が近いんだ。

選挙前になると、彼らは門の前で元気よく何かを語る。

たぶんいいことを言っている、気がする。

それが実行されたことは……あるのだろうか?

中には、あるのかもしれない。

まずは、前回の公約の実現結果を知りたいものだ。

夢は見るものじゃない、叶えるものだろう?

公約もたぶん、同じですよね?

いろいろ言いたいことはあるけれど、とにかく――選挙には行こう。

俺は、あの場所に入る。

昨日は昼から帰った。

あぁ、メールがこわい。

パソコンを開く。メールを開く。

やっぱり、山のようなメールが届いていた。

こんなにたくさん届いて、うれしくないメールもない。

現実逃避したくて、机に伏せる。

あっちの世界に行くためだ。

暗い、あっちの世界。

深い井戸の中にいるような、静かな世界。

何も考えずにいられる場所。

今日はずっとここにいたい――そう思った矢先、あの場所の鐘が聞こえてきた。

あぁ、また呼び戻されてしまった。

また、あの場所での一日がはじまる。

まずは、メールの処理からだ。

といっても、未読を既読にするだけの作業。

団結力のない組織は、必ず崩壊する。

歴史が、それを証明してきた。

あの場所にある組織も、例外ではない。

ビジョンのないトップ。

キャッチャーのいない野球チームのようなものだ。

ただ、その日を無事に終えられればそれでいい。

それが「目標」になっている。

自由な働き方とは、一体なんだろう。

みんな違って、みんないい。

でも、会社って、それで本当にいいのか?

あの場所で生きるということの、難しさ。

いや、難しく考えなければいいだけの話かもしれない。

怒りを、エネルギーに変えればいい。

うどん小屋を告げる鐘が鳴る。

外は、燃えるような暑さ。

うどん小屋には、すでに行列ができていた。

暑くても、これを食べないとダメらしい。

冷やしぶっかけうどんもあるが、人気はあつあつのきつねうどん。

うどん出汁は、塩分補給にもなる。

俺もしっかり、塩分を補給した。

汗が、滝のように流れる。

うつわを戻して、「ごちそうさま」と言う。

厨房では、氷水でキンキンに冷えたぶっかけうどんが、次の注文を待っていた。

……そっちにすればよかったかもしれない。

昼からもまた、バラバラの組織で働く。

まずは、バラバラになったパズルを組み立てることから。

それが、俺の仕事の始まり。

一旦、あっちの世界へ行こう。

眠りに落ちる。

――気づくと、あっちの世界の街頭にいた。

ふとビルを見上げる。

そこには、うどん小屋のおばちゃんがタスキをかけて、何かを話している。

まさか……立候補したのか?

それとも、うどんへの熱い思いを語っているのか?

隣では、朗読会の講師が「おっはー!」と叫んでいた。

なんだろう、この世界。

だけど、ちょっとだけ――悪くない。

おでの名前はタケルやで!

ちっこいのは最近、正社員になったダイチや。
旅好きなおでは後輩のダイチと
素敵な場所を
探して日々旅をしとるんやで。
ダイチと旅で見つけた
素敵な場所を
『タケルが行く』で紹介していくのでよろしくや!

ータケルの選手名鑑ー
選手名 タケル
ポジション 投手
背番号 16
利き手 右投げ左打ち
出身地 アルゼンチン
好きな食べ物 リンゴ

ーダイチの選手名鑑ー
選手名 ダイチ
ポジション 投手
背番号 14
利き手 右投げ右打ち
出身地 長崎
好きな食べ物 きびだんご

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