第四十六話「重たいまぶたと、軽やかなバス」

小説
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ゆっくりのんびりいきましょう。

俺はバスに揺られていた。

どこへ向かっているのか、はっきりしない旅。

ここはどこなんだろう――そう思ったとき、遠くでバイクの音が聞こえてきた。

その音で、俺はこの世界に戻ってきた。

月曜日が、ふたたびやってくる。

今朝はまぶたがやけに重い。

おもりが付いてるんじゃないかってくらいに。

それでも、俺は起き上がる。

カーテンを開けると、風がびゅうっと吹き込んできた。

台風が近づいているらしい。久しぶりの雨予報。しかも、けっこう降りそうだ。

車に乗る。

ラジオからは、インドのカースト制度についての話が流れてきた。

現代では法律で禁止されているカースト制度。

でも、実際には今もその影響が根強く残っているという。

「カースト」という名前自体は、もともと西洋人がつけたものらしい。

実際の仕組みは、もっと複雑で、もっと根が深い。

生まれながらにして職業や暮らし方が決まり、

身分の違う人と食事をともにしてはいけないという規制。

水や食料を分け与えることさえ許されなかったという。

人間は、自分とは違うものを分類し、順序をつけたがる。

それは、認知のクセでもある。

でも、そういう差を乗り越えるには、教育が必要なんだと話していた。

なるほど、と思いながら聞いていたら、

気がつけば、いつものあの場所の駐車場に着いていた。

空は真っ黒な雲に覆われていて、強い風が吹いていた。

海は荒れていて、今にも雨が降り出しそうだった。

建物に入ったとたん、どしゃぶりの雨。ギリギリセーフ。

さあ、今週も始まった。俺の戦いの場だ。

あの場所——それは一見すると、ただの建物だ。

けれど、そこには日々、目に見えない戦いが渦巻いている。

朝の読書では、人生論についての本を読んだ。

「人生とは、選択の連続である」

何を選ぶか、その積み重ねが、未来の自分をつくっていく。

そして、始まりの鐘が鳴る。

月曜日の午前中は、いつもの会議から始まる。

名ばかりの会議。

何かを決めるふりをしながら、何も決まらない。

でも、その“ふり”が、この世界のルールだ。

誰かの目を気にしながら、うなずく人。

言いたいことがあるのに、言わずに飲み込む人。

発言を避けて、ひたすらメモを取るふりをする人。

俺もその一人なのかもしれない。

正論より空気が勝るこの空間で、

正直であることは、勇気ではなくリスクだ。

ときどき、視線が天井をさまよう。

ここがどこかの宇宙船なら、脱出ポッドはあるだろうか。

そう考えるたびに、少し笑えてくる。

そんな空気のなかでも、誰かは今日も必死に戦っている。

家庭を背負って、将来を考えて、やりがいを探して。

俺も、俺なりに、この場所での意味を問い続けている。

だからこそ、時折やってくる“うどん小屋の鐘”は救いだ。

外に出て、傘をさしながら歩く。

雨の日のうどん小屋は、なんだかぬくもりがある。

湯気と人の声と、ほどよい沈黙。

この場所に流れる時間は、あの場所とはまるで違う。

並んで、待って、うどんが来たらすぐに食べて、また去る。

でもその短い時間が、午後への充電になる。

外に出ると、雨は上がっていた。

空を見上げると、雲のすき間から青空が見える。

まるで、一瞬だけ差し込んだ希望の光のように。

午後の会議は、朝よりもさらに静かだった。

エアコンの音とキーボードのタイピングが、ただ響く。

でも俺の心の中には、すでに“明日”がある。

そう、明日は有給休暇をとっている。

だから、あと半日がんばれば、あの場所を離れられる。

そう思うだけで、少し肩の力が抜けた。

目を閉じると、バスに揺られている自分が浮かぶ。

向こうの世界で、俺はまた旅をしている。

どこに行こうか、誰と会おうか、それともただ風に揺られてみようか。

週のはじまりの月曜日。

戦うように始まった一日だけど、

今日を越えれば、また違う風景が待っている。

ゆっくりでいい。

のんびりいこう。

俺は、俺のペースで、この旅を続けていく。

おでの名前はタケルやで!

ちっこいのは最近、正社員になったダイチや。
旅好きなおでは後輩のダイチと
素敵な場所を
探して日々旅をしとるんやで。
ダイチと旅で見つけた
素敵な場所を
『タケルが行く』で紹介していくのでよろしくや!

ータケルの選手名鑑ー
選手名 タケル
ポジション 投手
背番号 16
利き手 右投げ左打ち
出身地 アルゼンチン
好きな食べ物 リンゴ

ーダイチの選手名鑑ー
選手名 ダイチ
ポジション 投手
背番号 14
利き手 右投げ右打ち
出身地 長崎
好きな食べ物 きびだんご

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