第三十五話「忠義か納期か、それが問題だ」

小説
スポンサーリンク

空に稲妻が走った。

漆黒の闇を切り裂くその光は、まるで大地への警告のようだった。

南では、いまだ地震が頻発している。

俺は西へ車を走らせていた。

目的地があるのかもわからず、とにかく西へ――。

そう、あの三蔵法師も西を目指した。

ふと気づくと、口から自然とお経が出ていた。

しかし、なぜか途中で言葉が詰まる。

いつもならすらすらと唱えられるはずのものが、今日はなぜか続かない。

どうしてだろう。何かがおかしい。

今朝は、鳥たちの合唱がなかった。

動物や植物たちは、時に人間よりも早く異変を察知する。

人間は……いや、人間は「察知できない」のではない。

「変化を受け入れない」ように、あえて目を逸らしてるだけなのかもしれない。

よし。

今日も、行こう。あの場所へ。

昨夜は強い雨が降ったようだ。

車のボディは自然のシャワーでぴかぴかになっている。

西へ向かって車を走らせる。

途中、道を渡る亀に遭遇した。

とても、ゆっくり進んでいた。

もちろん、歩行者優先だ。

あれが彼の“全力”なのかもしれないな。

無事に道を渡りきったその時――

「ありがとう」

……声が、聞こえた気がした。

俺も応える。「お互い、がんばろうぜ」

気分を上げるために、好きな音楽をかけた。

車内に流れるメロディは、どこか懐かしく心地よい。

海が見えてきた。波のリズムに心を整える。

――さあ、あの場所へ。

あの場所は、外の世界と強固な壁で分断されている。

どれくらい強固かというと、壁は低い。

巨人なら、またげる。

そんな壁だ。

あの場所に入るには、門番のいる門を通らなくてはならない。

門番、俗に言う「守衛さん」が、ほうきを持って掃除していた。

……いや、よく見ると、剣道の素振りをしていた。

なるほど。あの場所にも武士道の心を忘れぬ者がいたか。

俺は一礼をして、門をくぐった。

あの場所には“覇気”はない。

しかし、“殺気”はある。

どこからともなく伝わる緊張感。

一瞬の油断も許されない。

俺は周囲に気を配りながら進む。

俺も武士のはしくれ。

心・技・体を日々鍛えている。

俺の剣の師匠は言っていた。

「剣一本でも、この目に止まる人々くらいなら何とか守れるでござるよ」と。

あの人は、新しい時代をつくろうと奮闘した。

その刃が、思いとは違う方向に向かうこともあったと聞く。

多大な犠牲と、交わらぬ想いの果てに、維新は起きた。

力で押し通す方が、早かったのかもしれない。

そうして出来上がったのが、今の日本だ。

俺たちは、いま、どんな時代を生きている?

師匠なら、この世界を見て、何て言うだろうか――

そんなことを考えていたら、鐘が鳴った。

今日の始まりを告げる音だ。

俺は、心の刀を構えた。

どこからでも、かかってこい。

あの場所は、弱肉強食の世界。

「強ければ生き、弱ければ死ぬ」

師匠の最強の敵も、そう言っていた。

だが、最強の敵に勝ったあの日、師匠は言った。

「勝った者が正しいというのなら、志々雄の方が正しいということになってしまうでござる」

そう、正しさとは、勝敗では決まらない。

さて。

今日は朝から忙しい。

あの場所――つまり“会社”では、仕事が山積みだ。

指示はない。

すべて自分の判断と責任。

そして、ミスが起きたときだけ、注目を浴びる。

まさに“弱肉強食”。

今日もまた、会議室がぎゅうぎゅうに詰められていた。

例のミスが発生したらしい。

若手が一人、全身を震わせていた。

あまりに震えて、ついにフリーズ寸前。

その場に静寂が走る――

俺の出番だ。

一歩前に出て、静かに言う。

「剣一本でも、この瞳に止まる人々くらいなら、なんとか守れるでござるよ」

……師匠、今日はたくさんお言葉をお借りしました。

そして俺は、会議室に集まった敵たちと戦った。

繰り出した技はただ一つ――

飛天御剣流・龍槌閃(りゅうついせん)!

タケルとダイチ

おでの名前はタケルやで!

ちっこいのは最近、正社員になったダイチや。
旅好きなおでは後輩のダイチと
素敵な場所を
探して日々旅をしとるんやで。
ダイチと旅で見つけた
素敵な場所を
『タケルが行く』で紹介していくのでよろしくや!

ータケルの選手名鑑ー
選手名 タケル
ポジション 投手
背番号 16
利き手 右投げ左打ち
出身地 アルゼンチン
好きな食べ物 リンゴ

ーダイチの選手名鑑ー
選手名 ダイチ
ポジション 投手
背番号 14
利き手 右投げ右打ち
出身地 長崎
好きな食べ物 きびだんご

タケルとダイチをフォローする
小説
スポンサーリンク
タケルとダイチをフォローする
タケルが行く

コメント

タイトルとURLをコピーしました