第六十九話「真白な世界に刻まれた約束」

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土砂降りの中、俺はどこかの講習会場にいた。

靴はびしょ濡れで、足元が重い。

会場にはちらほら顔見知りもいたが、なぜここにいるのか思い出せなかった。

講義が始まるらしい。スライドに映し出されたのは、見覚えのある“顔”だった。

それを見た瞬間、世界が反転するような感覚に包まれた。

目覚ましのアラームが鳴る。

こっちの世界に、戻ってきた。

しばらく、自分が誰なのかを考える。

何者で、どこにいて、これからどこへ向かうのか。

そんな問いを頭の中で反芻しながら、カーテンを開けた。

今日も、眩しいくらいにいい天気だった。

夜中にエアコンが切れたのか、身体が熱を帯びている。

扇風機をつけて少し冷やし、それから歯を磨いて服を着替える。

車に乗り込み、エンジンをかけた。

ラジオのスイッチを入れると、今日の特集は「独裁者」だった。

「独裁者は、プロパガンダを用いて人々の感情を操った。

怒り、恐れ、誇り。人の心を動かすのは、いつの時代も“言葉”である」

語りは続いていく。

独裁者は選挙で選ばれ、合法的に首相となった。

だが、そこからが本当の始まりだった。

「この国には“大統領”がいた。

非常事態には、憲法すら超えて命令を下す力を持っていた。

それを独裁者は利用した。いや、“悪用”したと言うべきかもしれない。

民主主義を嫌った大統領は、最も人気のある首相に全権力を手渡したのだ」

この国の話じゃない。

でも、どこかで見たことのあるような風景が、頭に浮かぶ。

選ばれし者による暴走。

“正義”と“秩序”の名のもとに行われた非道な支配。

それは遠い過去の物語であるはずなのに、なぜか、今の自分に近づいてくるような気がした。

ラジオの語りが途切れたとき、俺はあの場所がある街に着いていた。

太陽の光が背中を押す。

あの場所の門を通ると、門番がホースで水を撒いていた。

いつものようにタイムカードを押し、はじまりの鐘が鳴るまでのわずかな時間をうつ伏せで過ごす。

眠気はあるのに、眠れない。

それでも、やがて鐘が鳴り、一日が始まった。

じっと座っていると、腰が痛くなる。

立ち上がって歩く。

定期的に、ただ歩く。

そうしないと、気持ちが爆発してしまいそうだった。

眠気と腰の痛みに耐えながら、うどん小屋の鐘を聞いた。

灼熱の昼。

うどん小屋へ向かい、きつねうどんを注文する。

変わらぬ味、変わらぬ日常。

だが、胸の奥に、ふとした違和感がよぎった。

何かが、変わらなければいけない。

そんな気がして、きつねうどんをすすりながら、昨日のナイターの結果を眺める。

サヨナラ負け。

今年も厳しいかもしれない。

でも、諦めたらそこで試合終了。

……いや、時には諦めも必要かもしれない。

やっぱり、そう思った。

そう呟いた直後、隣の席のおじさんがギャンブルの話をしていた。

どうやら大負けしているらしい。

それでも、その目には諦めの色がなかった。

俺は小さくうなずきながら、心の中で彼にエールを送る。

午後。

あの場所に戻ると猛烈な睡魔に襲われた。

何か大きな力が、俺を“あちらの世界”へと引っ張っている。

“向こうの世界の独裁者”に会いに行くんだ。

そうすれば、きっと、この世界で生き抜く術が見えてくる。

目を閉じた瞬間、世界が切り替わる。

真っ白な世界に、俺は立っていた。

目の前には、巨大な宮殿のような建物が聳え立っている。

恐る恐る近づいていくと、看板にこう書かれていた。

「心と時の部屋」

その部屋には、食料と水が備えられていた。

「ここで鍛えろ」――そんな声が、どこかから聞こえた気がする。

次の瞬間、重力が急激に増し、吹き荒れる風が吹雪へと変わる。

過酷すぎる環境の中で、俺は問いかける。

どうやって、生き残ればいい?

手を伸ばし、食料庫を開けて湯を沸かす。

そして、うどんを作る。

あの場所の、変わらない味を思い出しながら。

この部屋で、俺は何を得るのだろう。

そして、目覚めたとき――

俺は、何を変えられるのだろうか。

おでの名前はタケルやで!

ちっこいのは最近、正社員になったダイチや。
旅好きなおでは後輩のダイチと
素敵な場所を
探して日々旅をしとるんやで。
ダイチと旅で見つけた
素敵な場所を
『タケルが行く』で紹介していくのでよろしくや!

ータケルの選手名鑑ー
選手名 タケル
ポジション 投手
背番号 16
利き手 右投げ左打ち
出身地 アルゼンチン
好きな食べ物 リンゴ

ーダイチの選手名鑑ー
選手名 ダイチ
ポジション 投手
背番号 14
利き手 右投げ右打ち
出身地 長崎
好きな食べ物 きびだんご

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