第六十五話「夜空に咲いた、屋台の絆」

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昨夜は比較的よく眠れた気がする。

窓の外では、朝早くからセミたちの大合唱が響き渡っていた。

まるで誰かに聴かせるために、練習しているかのような情熱を感じる。

今日は土曜日。

そして、花火大会の日だ。

俺は屋台の出店を手伝うことになっている。

気温もかなり上がりそうなので、体力が必要な一日になるだろう。

午前中は特に予定がないので、

まずはゆっくりと朝の時間を味わうことにした。

いつものように株価を確認してみると、

今週はどうやら少し下がり気味のようだった。

円高の影響もあるのだろう。

ただ、焦る必要はない。

長期で見ている投資は、日々の上げ下げに動じない方がいい。

気になる動画をいくつか眺めていると、

昨日届いたポータブル電源のことをふと思い出した。

イベント用に購入したものだけれど、

万が一の災害時にも役立つと考えると、持っているだけで少し安心できる。

ソーラーパネルを使っての充電も可能らしい。

今度、晴れた日にでも試してみよう。

ベランダの植物に水をやり、

太陽の光を浴びさせながら、

俺自身も深呼吸をして光を取り込む。

ふと、本を手に取り、読書を始める。

その静かな時間に、自然とまぶたが重くなっていった。

セミの声、扇風機の音、遠くの車の走行音。

いくつもの音が重なって、

どこかへと誘われるように俺は眠りの世界へと入っていった。

やがて目を開けたとき、

見慣れたようで見慣れない天井がそこにあった。

ここはいつもの世界なのか、それとも夢の続きなのか。

スマホを手に取り、時間を確認する。

まだ午前中だった。

現実と夢の境界が曖昧なまま、

俺はしばらくの間、ただ天井をぼんやりと見つめていた。

体は重く、まるで重力に押しつぶされているようで、

簡単には起き上がれそうになかった。

だけど、静かに差し込む光だけが、確かに俺の上に降り注いでいた。

まるで、そこにいることだけでいいと言われているようだった。

しばらくそのまま、再び目を閉じる。

もしかしたら次に目を開けたときには、

違う場所にいるのかもしれない。

次に気がついたとき、俺は元の世界に戻っていた。

さっきいた場所と似ているけれど、何かが微妙に違っている。

そろそろ昼からの屋台の準備に向けて、動き出さなければならない。

昼ごはんも先に食べておこうと思い、近くのコンビニへと向かった。

玄関を開けた瞬間、

強烈な熱気が体中にまとわりつくようだった。

まさに灼熱地獄。

歩いていると、足が少し痺れていることに気がついた。

腰にも違和感がある。

冷凍チャーハンを手に取り、コンビニを後にする。

このチャーハンが、意外と美味いのだ。

家に戻り、皿に盛って電子レンジで温める。

電子レンジを発明した人には、本当に感謝しかない。

文明の力は偉大だと思う。

そうこうしているうちに、出発の時間がやってきた。

いよいよ花火大会の会場へ向かう。

日が落ちるまではまだ時間があるが、

既に外の熱気は体力を奪っていく。

長く、過酷な午後になりそうな予感がする。

会場に着くと、昨日のうちに設営されたテントや機材が整然と並んでいた。

さすがは大規模な花火大会、準備の規模も並じゃない。

俺たちも準備に取りかかる。

普段のイベントとは比べものにならない食材の量に、圧倒されそうになる。

けれど、それでも着実に進んでいくこの空気が嫌いではなかった。

昼に到着したのに、気づけばもう夕方が近づいていた。

開始後の段取りを確認し、あとは始まりを待つだけとなった。

スタート直後は、あまり人の動きがなかった。

やはり暑すぎるのだろう。

しかし、日が傾き、少しずつ空気が和らいでくると、

客足が徐々に伸びていった。

次々に注文が入り、俺たちはひたすら動き続けた。

忙しいけれど、それが逆に心地いい。

無心で焼き、盛りつけ、渡し続けるうちに、

空が一気に暗くなっていった。

そのとき、後方から大きな音が響いた。

打ち上げ花火が始まったのだ。

それはまさに、目の前から打ち上がっていた。

光と音が空を割り、夜の世界を彩っていく。

花火が始まると、客の数は一時的に落ち着いた。

俺も一瞬、手を止めて夜空を見上げる。

疲れた体に、花火の色が静かに染み込んでいくようだった。

音が腹に響くたびに、自分が生きていることを実感した。

やがて花火も終わり、会場は撤収の時間を迎えた。

あたりには、ほどよい疲労と達成感が満ちていた。

この経験はきっと、俺の屋台営業にも役立てられるはずだと感じた。

さあ、帰ろう。

そう思ったところで、まさかの事故による大渋滞に巻き込まれる。

「家に帰るまでが花火大会」

どこかで聞いたようなその言葉が、今夜はいつも以上に沁みた。

おでの名前はタケルやで!

ちっこいのは最近、正社員になったダイチや。
旅好きなおでは後輩のダイチと
素敵な場所を
探して日々旅をしとるんやで。
ダイチと旅で見つけた
素敵な場所を
『タケルが行く』で紹介していくのでよろしくや!

ータケルの選手名鑑ー
選手名 タケル
ポジション 投手
背番号 16
利き手 右投げ左打ち
出身地 アルゼンチン
好きな食べ物 リンゴ

ーダイチの選手名鑑ー
選手名 ダイチ
ポジション 投手
背番号 14
利き手 右投げ右打ち
出身地 長崎
好きな食べ物 きびだんご

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