第二十五話 「深夜の円陣、昼はうどん会議」

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「誰とも競争することなく、ただ前を向いて歩いていけばいいのです。もちろん、他者と自分を比較する必要もありません。」

ーー岸見 一郎/古賀 史健『嫌われる勇気』

深夜0時半。

そいつらは、唐突にやってきた。

雨の降るなか、外で円陣を組み、「今日の反省会」とやらを始める。

まったく、声の張りには気をつけているあたり、妙に礼儀正しい。

「今日はありがとう!」

リーダーのかけ声とともに、そいつらは解散していった。

やっと、俺の睡眠もスタートできそうだ。

まだ夜明けまでは時間がある……はずだった。

ところが、今度は誰かが奇声をあげている。

なにがどうなってるんだ。

暑さで皆どうにかなってしまったのか?

考えているうちに、俺はいつの間にか眠っていた。

ふたたび目を覚ましたのは、大雨が大地を打ちつける轟音だった。

朝が来た。

昨夜のあれは何だったんだろう。

とにもかくにも、俺の1週間が始まった。

昨日マルシェで汗をかいて働いていた、カピバラのタケルとダイチは今日はお休み。

俺はというと、あの場所へ向かう準備をしている。

身体が重い。

雨のせいか、気圧が低い。

だが、行かねばならない。なぜかはわからないが。

クルマに乗り込む。

今年いちばんの大雨。

ワイパー全開でも前が見えない。

「これ、ヤバくねーか?」

道はもはや池。

教習所で習った「ハイドロプレーニング現象」が脳裏をよぎる。

案外、俺は冷静だった。

やっとの思いで駐車場に到着。

まだ雨は続いている。

長靴を履き、防水ジャケットを着て、スラックスの裾をまくり、短パン仕様に。

――ちょっとだけ、おしゃれかもしれない。

20分歩いて、ようやくあの場所へ辿り着く。

もう今日の体力を使い切った。

でも、ここまで来れたことがすでに奇跡。

雨雲のように、みんなの表情がどんよりしている。

「ヤバくねーか」とまた呟く。

月曜。

週のはじまり。

すでに疲れてる。

でも、今日は会議が多い。

個性豊かな面々も揃ってる。

笑い袋オヤジ、やれやれおじさん、金髪マッシュルーム……。

とりあえず、外に出て朝の体操。

あの大雨はやんでいた。

これは大地からの試練だったのかもしれない。

ふと、昨日のマルシェを思い出す。

この大雨が昨日じゃなくてほんとうに良かった。

昨日の今ごろは、全集中してたんだっけな。

でも、今日のこの場所じゃ、全集中なんて夢のまた夢。

呼吸すらできない。

修行が足りないのだ。

そして、会議。

次の会議。

その次の会議。

会議、会議、また会議。

でもこれは、会議というより――

ただの座談会。いや、それ以下。

「意見ありますか……なければこれで終わります」

わざわざ集まってこの内容。

若手が何も言わないのも、無理はない。

気づけば、また次の会議。

会議のはしごをして、ようやく昼休み。

よし、うどん小屋へ行こう。

うどん小屋には、いつもの常連メンバー。

ここでは仕事の本音が飛び交っている。

意見交換が活発だ。

――なんだ、うどん小屋がいちばん“会議”してるじゃねーか。

いつものうどんを注文。

でも今日は、油揚げが二枚入っていた。

おばちゃん、ありがとう。

ネギも多め。

俺の表情がよっぽど疲れて見えたんだろう。

うどんでエネルギーを取り戻し、午後の予定を見る。

……会議の文字でびっしりだった。

思わず、俺は叫んだ。

「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!!!」

会議、それは時として眠気との闘い。

そして“集まること”が目的になってしまった空間で、俺たちは何を見て、何を語るべきなのか。

でも、油揚げが二枚あれば、また頑張れる気がする。

タケルとダイチ

おでの名前はタケルやで!

ちっこいのは最近、正社員になったダイチや。
旅好きなおでは後輩のダイチと
素敵な場所を
探して日々旅をしとるんやで。
ダイチと旅で見つけた
素敵な場所を
『タケルが行く』で紹介していくのでよろしくや!

ータケルの選手名鑑ー
選手名 タケル
ポジション 投手
背番号 16
利き手 右投げ左打ち
出身地 アルゼンチン
好きな食べ物 リンゴ

ーダイチの選手名鑑ー
選手名 ダイチ
ポジション 投手
背番号 14
利き手 右投げ右打ち
出身地 長崎
好きな食べ物 きびだんご

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