第七十三話「雨の日イベントと来た時よりも美しく」

小説
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どこかのショッピングモールに来ていた。

広い店内をぶらぶらと歩く。

今日は昼ごはんを食べに来たが、まだ時間には少し早い。

巨大なショッピングモールを一周してみると、吹き抜けの空間に子どもの笑い声が反響し、パン屋の甘い香りが漂ってきた。

あちらこちらから聞こえる買い物袋のこすれる音やアナウンスが、夏休みのにぎわいをさらに際立たせている。

…タイヤが水たまりを通る音で目が覚めた。

車の下をくぐる雨音が低く響く。

一瞬、今日が何日なのか、今がどこなのかを考える。

そうだ、俺の夏休み二日目。

しかも今日はイベント出店の日だ。

天気予報通り、窓の外では細かい雨粒が斜めに降っている。

まだ出発まで少し時間がある。

目を閉じると、意識は別の世界へ滑り込んだ。

そこは海のある街。

潮の香りと冷たい風が頬をかすめる。

港には南極観測船が入港している。

白い船体は曇り空の下でも凛としていた。

そして、その向こうからメジャーリーグのスーパースターが犬を連れてこちらに向かってくる。

歩みはゆっくりだが、纏う空気が違う。

オーラが空気を震わせる。

思わずスマホを取り出し、写真を撮ってもらった。

近所の知り合いのおじさんにも偶然出会い、自慢げに写真を見せたが、どうにも興味がなさそうだった。

元の世界からアラームが響き、現実に引き戻される。

「よし、起きよう」

出発前に荷物の最終チェックをする。

忘れ物はない。

外は小雨。

土砂降りじゃないのがありがたい。

雨の匂いが少し甘く、夏の湿った空気を感じさせる。

イベント会場に着くと、そこは屋根付きのスペースだった。

駐車場に打ち付ける雨音を聞きながら、心の中で小さくガッツポーズをする。

荷物を下ろし、テントを立てる。

夏にしては涼しい空気だが、やはり動けば汗はにじむ。

設営が終わる頃には、心も身体もエンジンが温まっていた。

雨の中でもお客さんは次々にやって来る。

せっかくの夏休みなのに天気は味方してくれなかったが、そのぶんここで過ごす時間を思いきり楽しんでもらおう。

屋根の外では水たまりが広がり、通り過ぎる車のタイヤが水をはね上げる音が響く。

雨足は少し強くなったが、お客さんの笑顔は湿気を吹き飛ばす力を持っていた。

差し入れにフランクフルトをいただく。

湯気とともに漂う香ばしさが、胃の底をくすぐる。

腹が減っていたこともあり、うまさが倍増する。

顔見知りの出店仲間さんと近況を話し合い、笑い合ううちにイベントはあっという間に終わりの時間を迎えた。

撤収も雨の中だったが、屋根があるおかげで作業はスムーズ。

車に荷物をすべて積み込み、最後に出店場所を見回す。

水滴が落ちるアスファルトも、荷物を置いていた床も、来た時よりきれいになっている。

小学校の修学旅行で教わったあの言葉――「来た時よりも美しく」――がふとよみがえる。

それは、ただのマナーじゃなく、その場への感謝の証のようにも思えた。

帰り道、カフェに立ち寄り、丁寧に淹れてもらったカフェラテでホッと一息。

うまい。

身体にじんわり染み渡る。

晩ごはんはラーメンにしよう。

家に着くと、プロ野球のデイゲームの結果を確認する。

応援しているチームが勝っていた。

夏休み二日目は、雨にもかかわらずいい一日になった。

ビールを開け、今夜はゆっくりと過ごすことにした。

おでの名前はタケルやで!

ちっこいのは最近、正社員になったダイチや。
旅好きなおでは後輩のダイチと
素敵な場所を
探して日々旅をしとるんやで。
ダイチと旅で見つけた
素敵な場所を
『タケルが行く』で紹介していくのでよろしくや!

ータケルの選手名鑑ー
選手名 タケル
ポジション 投手
背番号 16
利き手 右投げ左打ち
出身地 アルゼンチン
好きな食べ物 リンゴ

ーダイチの選手名鑑ー
選手名 ダイチ
ポジション 投手
背番号 14
利き手 右投げ右打ち
出身地 長崎
好きな食べ物 きびだんご

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