第十八話「月曜日とペプシと意味について」

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あなたは変われないのではありません。人はいつでも、どんな環境に置かれていても変われます。あなたが変われないでいるのは、自らに対して「変わらない」という決心を下しているからなのです。

ーー岸見 一郎/古賀 史健『嫌われる勇気』 

驚くほどぐっすり寝た。

それでもまだ眠たい月曜日の朝。

「今日もはじまるのか……」

俺はまぶたの重さを感じながら天気予報をチェックする。

最高気温は35度。

夏はまだ本気を出していないらしい。

カーテンを開けると、太陽が静かに、でも確かに大地を照らしていた。

ダイチが大事にしている観葉植物を陽の当たる場所へと動かす。

昨日マルシェで買ったクッキーをバックに入れ、ポストを開けると

新聞と、先日注文した分厚い哲学書が届いていた。

配達員さんは夜に届けてくれたらしい。

「ありがとう」と、思わず声が出た。

それだけで、ほんの少し心が整う。

よしっ、今週もがんばろう。

俺はふたたび、あの場所に向かって車を走らせた。

平日に過ごす、あの場所だ。

いつもと変わらない空気。

いつもと変わらない沈黙の圧力。

俺は殺気を避けるようにしてタイムカードを押し、

席に着くと、ふたたび激しい眠気に襲われた。

闇に覆われた世界。ここはどこ、俺は誰?

気がつけばチャイムの音。

俺はいつのまにか、もう一つの世界に行っていたらしい。

横の席から飛んでくる、目を合わせない“ノールックあいさつ”。

「あいさつって、魔法の言葉じゃなかったっけ……」

俺は考える。

この世界にある「意味」について。

毎日、あの場所で働く意味。

それは生活のため?

それとも、誰かの役に立っているから?

それともただ、そうすることに慣れてしまっただけ?

会議に出席する。

ただ進行されるだけの、生産性のない時間。

ラジオのように流れる「安全放送」。

棒読みの声に、意味はあるのだろうか?

「そもそも“意味”ってなんだ?」

俺の頭は、ぐるぐると回り始める。

意味があるから行動するのか。

行動しているうちに意味が生まれるのか。

「意味」と「理由」の違いは?

意味って英語でなんて言うんだっけ……「meaning」か。

理由は「reason」。

似ているけど、ちょっと違う。

この地球からもし人類がいなくなれば、自然は戻り、土地は荒れていく。

けれど、それは“悪いこと”ではないのかもしれない。

人がここにいる“意味”って、なんなんだろう。

「意味なんて考えても仕方ない」

誰かがそう言ったとしても、俺は今日ぐらい考えていたいと思った。

月曜日はナイターもないし、定時に上がれるはずだ。

それだけでちょっと救われる気がする。

たとえ答えが見つからなくても、

今ここにいること、目を覚ましたこと、

誰かが本を届けてくれたこと。

「全部、きっと意味がある」

そう思えるだけで、今日を少しやさしく生きられる。

「配達員さん、ありがとう」

バッグに入れた本にそっと触れながら、もう一度つぶやいた。

ふと、自販機に目をやると

見慣れない青い缶――ペプシが新しく導入されていた。

「……沁みる」

その甘さが、じんわりと身体にしみわたる。

小さなことかもしれない。

でも、きっとこの一口にも、意味はある。

「よし、今週もがんばるぞ」

タケルとダイチ

おでの名前はタケルやで!

ちっこいのは最近、正社員になったダイチや。
旅好きなおでは後輩のダイチと
素敵な場所を
探して日々旅をしとるんやで。
ダイチと旅で見つけた
素敵な場所を
『タケルが行く』で紹介していくのでよろしくや!

ータケルの選手名鑑ー
選手名 タケル
ポジション 投手
背番号 16
利き手 右投げ左打ち
出身地 アルゼンチン
好きな食べ物 リンゴ

ーダイチの選手名鑑ー
選手名 ダイチ
ポジション 投手
背番号 14
利き手 右投げ右打ち
出身地 長崎
好きな食べ物 きびだんご

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