【小説】第一話「完璧な絶望など、あるわけがない」

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「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」

──村上春樹『風の歌を聴け』

朝、目覚めた瞬間から俺の金曜日は始まっていた。

憂鬱と疲労が朝食より先に胃に届く。天気は不明、カーテンを開ける気力すらない。

出社、エレベーターのドアが静かに開く。

扉の向こうに広がるのは、感情の死んだ人々が集う灰色の盆地。

そこに俺もまた、違和感なく溶け込んでいく。

会議室では「若手の意識改革」なる抽象画のような話題で打合せが展開されていた。

上司は「メールの件ね」とうなずくが、実際の中身は確認していない。俺はそれを知っている。なぜなら、そのメールを書いたのは自分だからだ。

苦いインスタントコーヒーをすする。

“苦い”というより“怒っている”ような味がした。

キーボードの音がやたら耳障りで、世界のすべてが敵に思えてくる。

眠気に抗えず舟をこぐ者、なぜか話が長い同僚──職場という名の動物園に今日も異常はない。

昼は社食の激安うどん。

コスパは高いが、俺は唐辛子で己の味覚を殺してしまう。「加減」という概念が昼に限って彼を裏切る。

午後、一本の電話をかける。

店に確認の連絡だ。だが、これはただの用件処理ではない。

俺にとっては「自分はまだ、誰かとちゃんと会話できる人間だ」という確認作業でもあった。

向こうの店員は礼儀正しく、少し噛んだ。それがなぜか嬉しかった。

そんなささやかな和みも束の間──背後で突如、奇声を上げるおっさんが出現。

「ホッホゥ!フォォ!」と叫んでいた。新しい宗教か、古いバグか。

怖くて俺はそっと席を立つ。

そして定時。

この日いちばん真剣に走ったのは、オフィスから駅までの数百メートルだった。

俺は風になる。いや、排気ガスまみれの風に紛れる。

「やっと…金曜が…終わった……」

心の中で声にならない叫びがこだまする。

週末は、スイーツに満ちた店でささやかな夢を見よう。

現実に踏みつけられた魂を、クリームと砂糖が癒してくれるかもしれない。

完璧じゃない日々。

でも完璧な絶望など存在しない。

だから俺は、明日もたぶん、生きていける。

タケルとダイチ

おでの名前はタケルやで!

ちっこいのは最近、正社員になったダイチや。
旅好きなおでは後輩のダイチと
素敵な場所を
探して日々旅をしとるんやで。
ダイチと旅で見つけた
素敵な場所を
『タケルが行く』で紹介していくのでよろしくや!

ータケルの選手名鑑ー
選手名 タケル
ポジション 投手
背番号 16
利き手 右投げ左打ち
出身地 アルゼンチン
好きな食べ物 リンゴ

ーダイチの選手名鑑ー
選手名 ダイチ
ポジション 投手
背番号 14
利き手 右投げ右打ち
出身地 長崎
好きな食べ物 きびだんご

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