第八話「不確かな重力、確かなビール」

小説
スポンサーリンク

「答えなんかはないよ。いってるだろう。これは、何をどう選択するか、なんだ。君が自分で選ばなくては意味がない」

ーー東野圭吾『手紙』

夢をみた。

まるで現実の世界を、そのままコピーしたような夢。

境界は曖昧で、でもたしかに夢だった。

そんな気がして、目を覚ました。

ふとスマホを見ると、昨晩セットしたはずのアラームがオフになっていた。

誰もいじっていないのに、勝手に。

ちょっと怖い。でもそれ以上に不安になる。

なぜって?予定通りに動かない“仕組み”が、俺は一番苦手だからだ。

「人ってなんだろう」

ふいにそんな疑問が浮かぶ。

行き交う人々の波。彼らはどこに向かっているのか。

俺もこの波の一部であることに変わりはないけれど、

ときどきふと、自分だけ別のルールの上を歩いているような錯覚を覚える。

朝はジャンルを問わず本を読む。

科学書、短歌、マンガ、ノンフィクション、なんでもいい。

今日は宇宙論を少し。

「地球が太陽のまわりをまわっている」

いや、「太陽が地球のまわりをまわっている」んだっけ?

……どっちでもいい。大事なのは、俺がこの世界に“立っている”という事実だ。

仕事の依頼が入った。

それが小さなものであれ、すごくうれしい。

“継続は力なり”。

日々の積み重ねが、見えない何かを押し上げてくれている気がする。

昼、社食でうどんを頼んだら、油揚げがふたつ入っていた。

ラッキー。

そう、生きてりゃいいこともある。

うどんのおばちゃんは、まだ戻ってきてないけど――たぶん、別の次元を旅してるんだろう。

午後、若い同僚に電気の仕組みを説明しようとして、

「昔、自転車のタイヤにカチッて当てるライトがあってさ」って話をしたら、

「なんですかそれ?」って言われた。

時代は、もう違う。。。

俺は電気をわかっていたつもりだったが、ほんとうに理解していたのか?

科学と技術。

発電とは何か。

この世界を動かしている力は、どこまで説明できるのだろう。

「停滞は衰退のはじまり」

――そうつぶやいて、自分に言い聞かせる。

そんなことを考えながら、

頭のなかではすでにナイターとビールが泡を立てている。

金曜日のご褒美だ。

明日は釣りに行こうか。潮の時間は調べておかないとな。

帰り道は大渋滞。

でも気分は悪くない。

車のなかで流れるラジオが、遠くでざわつく脳をそっと鎮めてくれる。

ピチピチの瀬戸内海のエビを買って帰ろう。

冷蔵庫のなかで待っているレモンと、今夜はきっと仲良くやってくれる。

俺たちはきっと、科学と偶然と、ちょっとの信念で生きている。

地球が太陽をまわろうが、その逆だろうが――

このエビがうまけりゃ、それでいいのかもしれない。

タケルとダイチ

おでの名前はタケルやで!

ちっこいのは最近、正社員になったダイチや。
旅好きなおでは後輩のダイチと
素敵な場所を
探して日々旅をしとるんやで。
ダイチと旅で見つけた
素敵な場所を
『タケルが行く』で紹介していくのでよろしくや!

ータケルの選手名鑑ー
選手名 タケル
ポジション 投手
背番号 16
利き手 右投げ左打ち
出身地 アルゼンチン
好きな食べ物 リンゴ

ーダイチの選手名鑑ー
選手名 ダイチ
ポジション 投手
背番号 14
利き手 右投げ右打ち
出身地 長崎
好きな食べ物 きびだんご

タケルとダイチをフォローする
小説
スポンサーリンク
タケルとダイチをフォローする
タケルが行く

コメント

タイトルとURLをコピーしました