【小説】第五話「記憶の雨と、夢を呼ぶ声」

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はるが きて

めが さめて くまさん ぼんやり かんがえた

さいているのは たんぽぽ だが

ええと ぼくは だれだっけ

だれだっけ

―― くまさん まど・みちお

深くて、深くて、どこまでも潜れるもう一つの世界から、俺は静かに戻ってきた。

現実という名のこの世界では、雨が音を立てて降っていた。冷たくはなかった。むしろ、優しい音だった。

火曜日。

目覚ましよりも早く目が覚め、カーテンを開けると、外は土砂降り。

だけど不思議と気持ちは沈まない。嫌いじゃないんだよな、こういう雨。まるで、誰かがこの世界を少しだけ洗い直してるみたいでさ。

職場に着くと、猛烈な睡魔が襲ってきた。

ああ、あっちの世界からもう1人の俺が呼んでる。

もうひとりの別の世界の俺。

始業までまだ時間がある。なら、ちょっと行ってくるか。

気づくと俺は、もう一つのパラレルワールドに足を踏み入れていた。

いつもの道、同じ街、同じ雨。でも空気の密度が違う。重くて、少し甘い。

その世界では、俺は別の誰かとして生きていた。名前も、肩書きも知らないけど、それでも確かに“俺”だった。

けれど、この世界では“ふたりの俺”が会うことは許されていない。

それがこの世界のルール。破ればきっと、どこかの時間が崩れる。

……ふと、背後から名前を呼ばれたような気がした。

振り返った。でも誰もいなかった。

ただ、雨が降っていただけだった。

目を開けると、俺は元の世界の机の前にいた。

うん、いつもの月並みな現実だ。でも、どこか違う気がした。ほんの少しだけ。

昼になる。雨脚は衰えず、世界は灰色に包まれている。

社食でうどんをすする。今日もおばちゃんはいなかった。

彼女もまた、もう一つの世界を旅しているのかもしれない。

ラジオでは「今日でひとつの時代が終わった」と言っていた。

でも俺は思う。

時代は終わるんじゃない、始まり続けているんだ。

雨の中で、確かに何かが芽吹いている気がする。

――ええと、俺は……だれだっけ?

だれだっけ?

タケルとダイチ

おでの名前はタケルやで!

ちっこいのは最近、正社員になったダイチや。
旅好きなおでは後輩のダイチと
素敵な場所を
探して日々旅をしとるんやで。
ダイチと旅で見つけた
素敵な場所を
『タケルが行く』で紹介していくのでよろしくや!

ータケルの選手名鑑ー
選手名 タケル
ポジション 投手
背番号 16
利き手 右投げ左打ち
出身地 アルゼンチン
好きな食べ物 リンゴ

ーダイチの選手名鑑ー
選手名 ダイチ
ポジション 投手
背番号 14
利き手 右投げ右打ち
出身地 長崎
好きな食べ物 きびだんご

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