第五十三話「玉子焼きを求めて青空に橋がかかるあの街へ」

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深夜、暑さで目が覚めた。

額にじっとりと汗がにじんでいる。

昨日の夜市の賑わいと、気になる選挙結果が頭をよぎる。

三連休の最終日。今日は隣の県へ足を伸ばす予定だった。

もう少しだけ、まどろみに身を預けよう。

セミの声に包まれて、朝がはじまる。

頭が少し重たい。どうやら日差しにやられたようだ。

薬を飲み、スマホで選挙結果を確認する。

「なるほど……」

思わず、ひとこと。

この結果を、政府はどう捉えるのか。

しばらくは、注視が必要だな。

さて、出発前にやることがある。

船に軽油を補給しておかないといけない。

俺は港を目指した。

空は雲が多く、湿度も高い。

夏だというのに、どこか例年と違う空気を感じる。

それでも季節は、しっかりとこの場所に根を下ろしている。

ガソリンスタンドで携行缶に軽油を入れ、港へ向かう。

船に軽油を流し込みながら、手をそっと添えて言う。

「また次も、頼むな」

まるで相棒に語りかけるように。

港では、タグボートが静かに海へと出ていった。

祝日でも、海の仕事に休みはない。

頭が下がる思いだ。

堤防には地元の釣り師たちが集まり、原付を横付けにして釣り糸を垂れている。

このあたりの定番の風景だ。

視線の先には、大きな橋がかかっていた。

世界一の吊り橋。

海と空を結ぶその姿は、力強く、美しかった。

さて、給油も完了した。

俺は、今日の目的である“玉子焼き”を目指して、東へ向かう。

久しぶりの県外ドライブ。

高速道路に乗り、車を走らせる。

空は抜けるように青く、雲はもくもくと浮かんでいる。

エアコンを効かせても、車内は夏の熱気に包まれていた。

いくつか休憩を挟みながら、目的地にたどり着く。

そこは、老舗の玉子焼きの名店。

この街は、タコで有名な土地だ。

そしてここの“玉子焼き”は、ふわふわに焼き上げた卵の生地を、特製の出汁と塩でいただくというもの。

まるで小さな茶碗蒸しを、箸でつまめるように仕立てたような、優しい味わいだ。

さらに、地元で獲れた“タコ足のおでん”も名物らしい。

しっかりと出汁の染み込んだタコ足は、やわらかくて、口の中でほどける。

噛むごとに、海の記憶が広がっていく。

「タコ、減ってるんだって」

そんな声が耳に入る。

だからこそ、大切に味わいたい。

ほどなくして、玉子焼きが運ばれてきた。

まずは塩でひとくち。

次に、特製の出汁につけて。

最後は出汁のスープで、喉を潤す。

「うまかったぁ……」

思わず声が漏れる。

店を出るとき、自然と頭が下がった。

この街には、タコせんべいという名物もある。

歩く人々が手にしている、大きくて薄い、丸いせんべい。

土産用にと店に入ると、レジのおばちゃんが「これ、よかったら」と言って、割れたせんべいをおまけでくれた。

割れているとはいえ、それは見事に大きく、しっかりとした存在感のあるせんべいだった。

「おばちゃん、ありがとう」

そう言って顔を上げたとき、そこにはもう誰の姿もなかった。

ふと視線を奥に向けると、湯気の立つうどんが見えた。

そのうつわは、どこか見覚えのある模様だった。

……あのうどん小屋のおばちゃんの手かもしれない。

橋を目指して、海辺へと足を伸ばす。

目の前に広がるのは、夏空と海にまたがる巨大な吊り橋。

ただただ、圧倒される景色。

「絶景だな……」

思わずつぶやく。

まだまだこの国には、知らない景色がたくさんある。

そのひとつひとつを、自分の足で巡ってみたいと思う。

帰り道も、高速を使って帰る。

途中、眠気に襲われたが、運転中は“向こうの世界”に行くわけにはいかない。

ちゃんと休憩をとって、無理せず帰る。

無事、家にたどり着き、袋からタコせんべいを取り出す。

ひとくち、かじる。

ピリッと効いた七味の辛さに、ふっと、あのうどん小屋の記憶がよみがえる。

あの味、あの声、あの手。

きっとまた、どこかで出会える気がする。

おでの名前はタケルやで!

ちっこいのは最近、正社員になったダイチや。
旅好きなおでは後輩のダイチと
素敵な場所を
探して日々旅をしとるんやで。
ダイチと旅で見つけた
素敵な場所を
『タケルが行く』で紹介していくのでよろしくや!

ータケルの選手名鑑ー
選手名 タケル
ポジション 投手
背番号 16
利き手 右投げ左打ち
出身地 アルゼンチン
好きな食べ物 リンゴ

ーダイチの選手名鑑ー
選手名 ダイチ
ポジション 投手
背番号 14
利き手 右投げ右打ち
出身地 長崎
好きな食べ物 きびだんご

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