第四十七話「山の清流から教室の冷気へ」

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俺は、ばあちゃんの家がある山の中にいた。

きれいな清流が流れていて、まわりには田植えを終えた田んぼが広がっている。

俺の大好きな場所だ。

初夏の空気が、すべてをやさしく包んでいた。

そんな空気のなか、家の中からばあちゃんが出てきた。

「ひさしぶり」と声をかけられ、俺は笑ってうなずいた。

家に入ると、そこにはたくさんの桃が並んでいた。

ばあちゃんが「川で冷やしておいで」と言う。

川を覗くと、大きな魚が泳いでいた。

ふと気がつくと、今度は魚市場にいた。

生簀にはたくさんの魚がいて、カレイの姿も見えた。

子供のころ、よく釣っていた記憶がよみがえる。

今日は、いろんなところを旅してるなぁと思う。

「ばあちゃん、また会いにくるよ」

そう言って、俺はこっちの世界に戻ってきた。

今日は有給休暇を取っている。

朝はいつもよりゆっくりしていたから、向こうの世界での時間もゆっくり過ごせたのかもしれない。

これから、船の免許の更新講習がある。

そろそろ起きよう。

カーテンを開けると、太陽がしっかりと大地を照らしていた。

昨日の大雨のおかげで、空気が澄んでいる。

セミの声が響いてくる。元気いっぱいだ。

今朝は時間に余裕があるので、お茶漬けを食べることにした。

これがまた、うまいんだ。

コーヒーも淹れる。

よし、行くか。

……と思ったら、朝の通勤ラッシュにしっかり巻き込まれる。

間に合うか?

ギリギリ、なんとか間に合った。

やっぱり、朝の交通はちゃんと考慮しないとだめだな。

今日の講習は一日コースで、最後に修了試験まであるらしい。

長い戦いになりそうだ。

会場に入ると、まるで真冬のような寒さ。

寒い、寒すぎる。

そんなとき、講師の先生がエアコンの温度を上げてくれた。

会場から小さな歓声が上がる。

みんな同じ気持ちだったらしい。

ありがとう、先生。

先生自身も寒かったそうだ。

しばらくすると、会場の気温が一気に上がってきた。

午前の講習が終わったころには、まだ少し寒いけどだいぶマシになっていた。

昼はあたたかいものを食べたくて、近くの店で煮干しそばを見つけた。

あつあつの煮干し出汁が、体に沁み渡る。

気づけば、スープまで全部飲み干していた。

「ごちそうさま。おいしかったです」

外に出ると、夏の太陽がさらに俺をあたためてくれる。

午後の講習が始まる。

眠気との戦いだ。

会場の空気は、午前中よりもほんの少しだけあたたかく感じる。

エアコンの設定温度が変わったのか、それとも俺の身体が慣れてきただけなのか。

先生の声が、一定のリズムで流れていく。

そのリズムに誘われるように、まぶたがゆっくりと重くなっていく。

ふと隣を見ると、同じようにウトウトしている人もいた。

俺は、机の下でこっそり足をつねってみる。

痛い。でも、ちょっと目が覚めた。

午後の時間は、どこか夢の中にいるような、そんな不思議な感覚があった。

教室の窓の外では、青空に入道雲がむくむくと育っていた。

夏が本気を出してきたな、と思う。

やがて、講習の最後に近づく。

空気がすこしピリッとする。

いよいよ修了試験だ。

教室の前に配られた問題用紙。

ぱっと見ただけで、簡単じゃないとわかる。

いや、思ったより難しい……。

でも、ここまで来たんだ。

俺は覚えている限りのことを思い出して、ひとつずつ答えを書いていった。

途中でふと、午前に飲んだあたたかい煮干しスープの味がよみがえる。

あの一杯が、午後の俺を支えてくれている気がした。

なんとか全問埋め終えて、鉛筆を置く。

静かに深呼吸する。

試験は終わった。

講習会場を出た瞬間、外の空気が一気に身体に流れ込む。

冷えた室内にいたからこそ、夏の空気が妙に心地いい。

太陽の光がまぶしい。

それがちょっと、うれしかった。

「終わったな」

心の中で、そうつぶやく。

甘いものが欲しくなるのは、きっと緊張のせいだろう。

帰り道のカフェで、ふわっと甘いカフェラテを飲む。

ミルクの温度と、ほんのり苦いエスプレッソが、今の気分にぴったりだった。

たまには勉強で頭を使うのもいい。

ちょっと頭がズキズキするけど、それもまた一日を過ごした証だ。

空を見上げると、さっきの入道雲が太陽を少しだけ隠していた。

——これは、ひと雨くるかな。

でも今の俺なら、どんな雨でもちょっと楽しめそうな気がする。

おでの名前はタケルやで!

ちっこいのは最近、正社員になったダイチや。
旅好きなおでは後輩のダイチと
素敵な場所を
探して日々旅をしとるんやで。
ダイチと旅で見つけた
素敵な場所を
『タケルが行く』で紹介していくのでよろしくや!

ータケルの選手名鑑ー
選手名 タケル
ポジション 投手
背番号 16
利き手 右投げ左打ち
出身地 アルゼンチン
好きな食べ物 リンゴ

ーダイチの選手名鑑ー
選手名 ダイチ
ポジション 投手
背番号 14
利き手 右投げ右打ち
出身地 長崎
好きな食べ物 きびだんご

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