七夕の朝、ひさしぶりに“あっちの世界”に行かずに目が覚めた。
外はすでに陽が差し、セミが鳴いている。
令和7年7月7日――
トリプルセブン、777のラッキーデーだ。
なんだか、今日は良いことが起きそうな気がする。
…腰が痛くなければ、の話だが。
昨日のイベントで張り切りすぎたか。
サーキュレーターを回して部屋の空気を動かすと、足元ではカピバラのタケルとダイチがぐっすりと眠っていた。
彼らも、きっと疲れているんだろう。ぬくもりを抱いたまま、夢のなか。
俺はそっと部屋を抜け出し、車に乗り込んだ。
ラジオから流れるのは、アメリカ開拓史。
西部劇の世界だ。
法と秩序が曖昧だった時代、犯罪者が犯罪者を追い、酒場とジーンズが歴史に名を刻んだ。
「人間って、どの時代も試されてるな」
そんなことを考えながら、太陽が照りつけるなか“あの場所”へ向かう。
到着後、まずは朝の読書から。
心を整え、言葉を吸い込む。
始まりの鐘が鳴った。
腰の痛みに耐えつつ、周囲を見渡すと、みんな月曜の顔をしている。
笑い袋おじさんの笑い袋も、ついに音が鳴らなくなっていた。
壊れたのか、それとも笑う気力すらなくなったのか。
月曜日の午前中は会議とメール処理で一瞬で過ぎる。
そんなものだ。
昼の鐘が鳴った。
今日はうどん小屋には寄らない。
代わりに、大好きな焼肉屋さんの冷麺。
これがまた、灼熱の空気にぴったり合うんだ。
つるりと喉を通り抜けて、心がひと息つく。
午後の予定は、夜のコーヒーセミナー。
世界中の豆と向き合うチャンスだ。
温暖化とコーヒーの関係についても学べるというから、気持ちも高まってくる。
ふと、昨日充電したポータブル電源のコンセントを抜き忘れたことを思い出す。
あれをつけっぱなしにしていたら、電気を無駄にしてしまう。
いまの時代、電気は命綱だ。
災害が来ても、電気さえあればどうにかなる。
特に、南では地震が頻発している。
だからこそ、ポータブル電源は心の保険なのだ。
この晴天続きの夏、太陽光発電も悪くない選択かもしれない。
でも、忘れてはならない。
日本の電力の大半は、いまだ火力発電が担っている。
電気自動車がいくら普及しても、その電気を作る過程で二酸化炭素が出るのなら――
それは本当に「エコ」なのか?
「地球にやさしい」は、ただの広告コピーかもしれない。
でも、真実は自分で確かめるしかない。
数字と記事だけじゃ、本当のことは見えてこない。
地球の気温が上がっているのは事実だ。
でも、それは人のせいなのか?
それとも地球自身の周期の一部なのか?
疑問符が空に浮かぶ七夕の昼。
夜には、星が見えるかもしれない。
星と地球とコーヒー豆。
小さな粒の中に、広い世界が詰まっている。
俺はもう一度、空を見上げる。
そして思う。
今日のセミナーで、新しい何かが見えるといい。
今夜が、よき夜となりますように。
七夕の願いは、静かに胸の中に灯っていた。
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