日曜日の朝は、風が違う。
今日はひんやりと涼しくて、空も静かに澄んでいた。
こんな日は、まず植物たちに陽の光を分けてやる。
窓際に並べた多肉植物をそっと持ち上げ、陽だまりの中へ。光が葉に触れた瞬間、彼らはまるで小さく伸びをするみたいに元気になる。
「植物のいる生活って、なんかいいよな」
思わずつぶやいた。
光を浴びるその姿に、自分も少しずつ引っ張られて、今日を始めようという気になる。
目指すは“美しい星の街”。今日はそこでイベント。
空も味方してくれているみたいで、道中は驚くほどスイスイだった。
山の中に入ると、空気が変わる。
湿度の中に清らかなものが混じっていて、車の窓を少し開けると、鳥の囀りが滑り込んできた。
田んぼの水面には青空が揺れて、苗はもうピンと立っていた。田植えが終わったばかりの、ほっとした風景。
俺はその何気ない景色に、じんわり胸をあたためられる。
会場に着いて、テントを立てる。
カピバラのタケルとダイチも今日は一緒に。イベントの看板要員だ。2人とも、よく働く。
テントの中はすでに少し暑い。だけど不思議と、疲れはこない。
今日もたくさんの出会いがある。そんな予感が空気の中に混じっていた。
そして実際に、ステキなお客様が笑顔をくれた。
ステキな出店者さんが声をかけてくれた。
ステキな主催者さんが温かい気配で場を包んでくれた。
その一人ひとりが、俺を少しずつ、育ててくれる。
何も教えようとはしていないのに、なぜかちゃんと伝わる。
ああ、人っていいなと思う。
イベントの片付けも終わって、テントをたたみながら、俺は空を見上げた。
星はまだ出ていないけど、ここが“美しい星の街”と呼ばれる理由が、わかる気がした。
そうそう、腰が痛い。
たぶん荷物の持ちすぎだ。
でもね、今日はそれすら「気持ちいい疲労感」って言えてしまう。
明日はまた別の朝。
でもきっと、今日という1日が俺の中で何かを根付かせてる。
多肉植物みたいに、ゆっくりと、しっかりと。
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